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レポート

HAE16C

iOptron社製ハイブリッドマウントHAE16C

移動観測・撮影のソリッドなプラットフォーム

米国S&T誌テストレポートby Sean Walker、May 2025

What we like :
赤道儀・経緯台モードで高い導入精度
ほとんどのサードパーティーアプリ、撮影用PCとプラグアンドプレイできる

What we don’t like:
専用取扱説明書がまだない 寒冷地で生じる電源ケーブルの接続不良



小口径アポクロマートやコンパクトマウントが流行するなか、小型ながらもカウンターウェイトなしで重量級の機材を搭載できる新機種が、中国に製造拠点をおく、米国マサチューセッツ州のiOptron社から発売される。

HAE16Cは経緯台、赤道儀モードで運用できるハイブリッドマウント。ストレインウェーブギアとベルトドライブを組み合わせ、優れた高速駆動、自動導入、追尾精度を、軽量かつポータブルに実現する。航空機内に持ち込めるサイズなので、数か月に及びディープスカイ撮影のテストを繰り返す。

HAE16Cは、赤経をストレインウェーブギア、赤緯をウォームギアでベルト駆動する同シリーズ最小のモデル。2.6kgと軽量な本体は、オプションのカウンターウェイトなしで8.2kgの搭載重量を誇る。オプションのカウンターウェイトシャフトとカウンターウェイトを用意すれば、搭載重量は12kgになる。サイズ、搭載重量、価格は同社のHEM15マウントに近いが、HAE16Cは赤道儀と経緯台の両モードを備える。

20cm口径クラスのカセグレン系までだろうか、8.2kgをカウンターウェイトなしで搭載できる設計は他に類をみない。マウント本体の高さも20cmで、片手に収まる。本体底面には3/8インチのメスネジが施されているので、三脚の選択に困ることもない。





手袋をはめた状態でも、HAE16Cの方位・高度調整ノブを簡単に回せる。

高度軸にはスチールピンを配し、0°~45°、45°~90°に合わせられる。ネジをはずして切り替えるときは、無くさないように注意が必要。

高度ノブの上方向にはマウントとPCをUSB2.0で接続するUSB-Cポートがあり、赤緯軸の下にはオプションのカウンターウェイトシャフトを受けるメスネジのほか、ハンドコントローラやオートガイダーをつなぐための6ピンポートがある。

100VコンセントからDC12V 5Aを出力するACアダプターのほか、オプションのハンドコントローラ、ケーブル等のアクセサリーを収納できるケースが標準付属する。

サドルプレートが受けるダブテールプレートはGP互換のみ、サドルの横にはUSB-Cポートと主電源に導通したプラグがあり、いずれも同社のiMateやZWO社製ASIAirなどを接続できる。テストでは、マウント、カメラ、フォーカサーの制御にASIAirを使う。








フィールドでのパフォーマンス

とりわけ太陽を観るときはSkySafari7 Proでマウントを制御するが、オプションのハンドコントローラも何度か使ってみる。OLED画面に表示されるテキストは昼間暗すぎるが、夜空なら問題ない。ハンドコントローラは、特に経緯台モードのセットアップ作業での使い勝手が良い。マウント内蔵のWi-Fiレシーバー経由でマウントに接続する、アンドロイド用のiOptron Commanderアプリも試す。ハンドコントローラはラップトップPCに直接接続できるUSB-Cポートを備え、マウントの駆動体にケーブルをつなぐ必要がないため、マウントの高速駆動中にケーブルが絡む心配がない。

iOptron社のWEBサイトにはHAE16C専用の取扱説明書がなく、HAEシリーズの開設をひとつの取扱説明書にまとめている。搭載重量、電源等の数値は異なるが、HAEシリーズの電子制御は同じなので、HAE18Cの取扱説明書をダウンロードして使う。そこには、ハンドコントローラのセットアップの操作について、わかりやすく解説されている。

ハンドコントローラの初期設定は運用する場所の日時の入力からはじめるが、いずれの値もハンドコントローラに記憶される。経緯台モードでは望遠鏡が天頂を向き、赤道儀モードなら極軸の上の望遠鏡が天の極を向く“ゼロポジション”からスタートする。マウントに供給する電源が途絶えた場合、ハンドコントローラのSearch Zero Position機能により、電源が復帰したとき、アライメントをやり直さなくても、自動追尾を復帰できる。

経緯台モードでマウントのアライメントをとるには、Wi-Fiアンテナを取り付ける本体側面を南に向けてから、Select and Slewでブライトスターや惑星を選ぶ。選んだ天体を導入できたら、Menuキーを押しSync. To Targetを選んでから、天体を矢印キーでアイピース視野中心にいれ、Enterキーを押せば自動導入の準備が完了する。

この簡単なアライメントで、口径92mm Astro-Physics Stowaway屈折望遠鏡には十分。アライメント天体から遠く離れた対象を導入する際は、Sync. To Targetを再度実行することで、シンクロした天体の周辺50°くらいなら、アイピースの視野中心に導入できる。

赤道儀モードのアライメントはご存じのとおり、少し複雑。まずは極軸を合わせる必要がある。ハンドコントローラには極軸合わせの方法が二つあるが、HAE16Cで有効な方法は一つだけ。最初に現時刻での北極星のクロックポジションが表示される。iOptron社製ストレインウェーブマウントにはないが、極軸望遠鏡を備えるマウントには役立つ情報だ。

Polar Iterate Alignという便利な機能もある。ここでは、天の極から離れたブライトスターを2星選んでアライメントを実行する。まずは、最初の天体を選んで導入する。導入を終えると、ハンドコントローラからビープ音が鳴り、ハンドコントローラには「選んだ天体が中心から半分のところまでくるように方向キー“◄”と“►”(赤経±)を操作し、マウントの高度ノブを手で調整してからEnterを押す」と表示さる。その後、二つ目のアライメント星を選ぶと、マウントはその天体に向かう。導入を終えると、ハンドコントローラには「選んだ天体が中心から半分のところまでくるように方向キー“◄”と“►”(赤経±)を操作し、マウントの方位ノブを手で調整してからEnterを押す」と表示される。以上の操作をポイント精度が十分になるまで繰り返したら、BACKボタンを押して終了します。この機能はとても有効に働き、GoToをかけると天体をほぼ視野中心に自動導入できる。

iOptron社は、PCやiMateなどで使用できるiPolar電子屈折望遠鏡も用意するが、他の撮影専用PCでは使用できない。iPolarはわずか数分で精度の高い曲軸合せがでるだけに、残念なところ。








以上で準備完了のHAE16Cの自動導入および追尾の精度は極めて良い。ときより、極軸をおおざっぱに合わせた状態で使うこともあるが、まず自動導入した後、三脚をそっと動かして天体がファインダーの視野に入るようにしてから、Synch. To Targetを実行する。この状態でも、低倍率アイピースの視野に天体を入れるくらいの精度はある。

オプションのGo2Novaハンドコントローラには、上級自動導入マウントクラスの212,000天体データベースが格納される。Messier、NGC、IC、Caldwellなどのディープスカイカタログのほか、さらに淡い天体のPGCやAbellカタログまで含む。

データベースはベイシックな惑星、太陽、“Famous Stars”、92の“Named Deep-sky Objects.”だが、同社のCommanderアプリも役に立つが、ある特定の天体にアクセスするときは、数値準に並ぶ天体を選ぶことになり手間がかかる。ただし、ほとんどのユーザーは、SkySafariや、ZWO ASIAirなどの撮影PCのプラネタリウムソフトでマウントを操作すると思う。 筆者はASIAir Plus 256Gで撮影テストを行う。HAE16Cと完全にプラグアンドプレイできる。すべてのセットアップを終えると、どの天体領域でも、自動導入、センタリング、追尾を容易に行える。

他のストレインウェーブマウント同様、HAE16Cのピリオディックエラーも少なくない。ギア周期は360秒、正確に測定してないが、オートガイディングで簡単に補正できる。通常、オートガイディングに用いる露出は3秒だが、Stowaway 92mm屈折望遠鏡(実行焦点距離490mm)撮影したどの画像にも間延びはない。ニューハンプシャー州のマンチェスターの北、光害のある夜空を避けて撮影するときは、通常、5分くらいの露出にする。

HAE16CのACアダプターは極寒の夜でなければ問題はないが、電源ケーブルがわずかな動きで抜けてしまう。そこで、高度軸と、電源ジャック付近のケーブルに弾性のあるバンドを巻いて接続状態を固定して対応。昨年秋、出先の車両から電源をとってCommet C/2023 AC Tsuchinshan-ATLASを撮ったが、接続の問題は生じない。

カウンターウェイトの必要性

ストレインウェーブマウントの魅力のひとつに、カウンターウェイトでシステムの重量バランスをとる必要がないことが挙げられるが、ある程度のところまでは間違いない。HAE16Cマウントは、とくに眼視観望に好ましい経緯台モードで、問題なく追尾し、高速駆動する。ただし、マウントを載せるピラーや三脚の設置面積が十分に確保されていない場合、望遠鏡が傾き転倒する恐れがある。ここでは、マウントにASIAir Plus、小口径ガイド鏡筒、撮影カメラを装着したシステムの重量バランスをとるため、カウンターウェイトを併用する。マウントの公証搭載重量だけで、搭載する鏡筒を決められるわけではない。たとえば、所有のCelesctron 102mm F10アクロマートのように、マウントの重量制限を超えないが、鏡筒が長く、使用する三脚の脚に干渉することがある。その場合、オプションの同社製延長筒を追加しても解決できる。また、ハンドコントローラにも干渉を防ぐ機能がある。Settingsのset Altitude Limitを使うことで、望遠鏡が三脚に干渉しないようにできる。カウンターウェイト無しのセットアップで三脚を十分広げて安定性を図るときに便利な機能だ。

HAE16Cは小口径からミドルサイズの鏡筒を搭載するマウントとしてすばらしい。ほとんどのプラネタリウムアプリや撮影セットアップとプラグアンドプレイできるHAE16Cは、遠征して天体撮影を楽しむユーザーには、一押しのマウントとしてお勧めする。

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