このゴールデンウィークにナミブ砂漠にProntoを持って行ってきました。
Pronto+ショルダーバッグ、F2マウント、三脚セットは、リュックにスッポリと収まるので、海外にいくときも、そのまま機内に持ち込めます。手荷物検査でも一度も中を開けられることはありませんでした。
ナミブ砂漠では5月5日と6日、過ごしました。あいにくと、満月からあまり日がたっていないので、午後10時には月が昇ってしまうのですが、月が昇までの砂漠の星夜はやはり抜群でした。
Prontoにナグラーの9mmをつけて、南十字星からエータ・カリーナ星雲まで流すと、さまざまな星団が飛び込んできます。宝石箱(NGC4755)、NGC4349、4103、そして、視野いっぱいに広がるエータ・カリーナ星雲のすごさ。
"スペースウォーク"の意味がやっとわかりました。
Tele Vueさん、そしてAl Naglerさん。
素晴しいコンセプトの望遠鏡、そしてアイピースをありがとうございます。
これからも、天文ファンのために、良い望遠鏡を作り続けてください。
千葉県市川市 堀越 幸一(Koichi Horikoshi,Ichikawa-shi,Chiba)
このページのトップへ
プロントテストレポート "スモールスコープ ビッグスカイ"(抜粋編)
ジョン・シブレイ(John Sybrey)
「できるだけ口径の大きな望遠鏡を買いなさい。より淡い対象をより詳細に見ることができるから。」この20年、人にも自分自身にもこう言い聞かせてきた。
「プロント」という小さな屈折望遠鏡が、これまで口径一辺倒だった私を解放してくれた。並みの小口径に何ができるかとも思っていたし、この趣味を突き詰めていけばいくほど大口径に傾倒していくのが当たりまえだとも考えていたからだろう。いずれにしても、この春プロントで数回の観望を経験しただけで、私の中で望遠鏡に関する枠組みが取り払われたことだけは確かだ。
小口径ができること
プロントの光学系は口径70mm、F6.8、焦点距離480mmで、EDガラスが採用されている。手にした瞬間、最高のポータブル・リッチフィールド(広視界)テレスコープだと予感した。
接眼部の合焦機構には観望に適した真鍮のラックアンドピニオンが採用され、繰り出し距離は60mm。つまみを1回転させると25mm可動する。合焦ハンドルの大きさは42mmもあり、ゴムリングが巻かれているため、厚手の手袋をはめた手でも確実に操作することができる。接眼部の動きはこれまで見たどの望遠鏡のものよりもスムーズなうえ、撮影時に使用できる固定ネジも付いている。
鏡筒バンドは黒アルマイト処理が施され、バットハンドル1つで重量バランスを簡単に調整できる。このメカニズムは、プロントを経緯台に搭載するときはもとより、赤道儀で使うときも意外と大切だ。
知らなかった宇宙
まず、プロントと組み合わせて低倍率14x、広視界5°を実現するアイピース「パン・オプティック35mm」を使い、4月のヘール・ボップ彗星のを覗いた。明るいダストテールのほとんどがプロントの広視界に収まり、微妙なイオンテールまで見ることができた。すばらしい。条件のよい夕方には青色の痕跡さえ確認できた。
このような詳細を捕らえることができるのはプロントのコントラストの良さに起因する。驚いたことに、この低倍率で彗星内部のコマ領域を囲むフード構造を捕らえ、ナグラー7mmでは隠れた核から分離する暗い扇形が一目で見えた。口径7センチとしては上出来。
また、パン・オプティック35mmにUHCフィルタを着けて夏の天の川に沿ってプロントを流すと、はくちょう座の北アメリカ星雲に遭遇。それもアイピース視野の半分に余裕で収まっている。プロントを少し南に向けると、一対のベール星雲がある。フィルタなしで夜空に広がる星雲が見えるかどうかを試したが、よく見えた。
一番驚いたのは、やはり天の川で、小口径では決して捕らえることができないと思っていた領域をUHCフィルタを着けて見たときだ。北アメリカ星雲と同じくらいすばらしい星雲の輪の広がりが見えた。
このあたりの天の川を撮影しても、銀河星群の光が星雲の詳細を飛ばしてしまう。ところが、パン・オプティック35mmにUHCフィルタを装置してプロントを覗くと、見えない光の放射がその命を吹き返す。フィルタが空と星の明るさを抑え、星雲の発する光を浮き上がらせるのだ。
プロントを14xという低倍率で見ると、とくに北のカシオペア座からへびつかい座向かって銀河面を漂うHII領域はとても身近に感じられる。
これでプロントの「リッチフィールド テレスコープ」たる由縁がお分かりいただけたと思う。では、倍率の上限はどうだろう。一般的なルールに従えば口径70mmのプロントの最高倍率は168x(20x/口径1センチ)といことになるが、Nagler 7mmを3xバローレンズに差し込み、琴座のイプシロン(有名な二重性)を覗いて見た。2.8"のイプシロン1と2.2"のイプシロン2のディスクは暗い夜空を背景にくっきりと分離した。
今度はうしかい座のイプシロンでテストした。この2.9"の二重性の分離が難しいのは、主星が2.5等星のため、5等星の伴星の光をかき消してしまうからだ。プロントの優秀な光学系とコーティングのよさが140xでの分離を実現したことになる。
肩に背負える宇宙船
おそらく、簡単なセットアップと高い携帯性がプロントを選ぶ主たる理由になるだろう。口径が大きいほどより淡い対象を捕らえることができるのは確かだが、大口径でも質の劣る望遠鏡が高性能な小口径より優れていると言えるだろうか。大口径なら810mmまで何百回となく運用し、星雲星団を探索して期待どおりの見え方を楽しんできた。それでも、造りの良い70mmの屈折望遠鏡「プロント」なら、コンパクトなショルダーバッグの中にアイピースと一緒に収まり、速やかにセットアップできるうえ、まだ経験したことのないマクロの世界を楽しませてくれる。
レンジャーレポート "Better View Desired誌"から(抜粋)
レンジャーの解像度を、口径78mmのEDを使ったとスポッティングスコープと比べてみた。25倍で比較すると、スポッティングスコープの限界解像度の識別距離は16.8メートルだが、レンジャーの場合は18メートルあった。
レンジャーの解像度が従来の上位スポッティングスコープをはるかに越えていることは疑いの余地がない。しかも、対象との距離が遠くなり倍率を上げていくほどに、その差はますます明らかになる。
(レンジャーは同誌で "BestBuy" に選ばれました。)