LS望遠鏡を使って都会でディープスカイ天体を撮ってみる

以下の作例はミード社のCCDカメラ「DSI II」によるものですが、製造が中止になっています。DSI IIにかわりLSで手軽に使えるカメラとしては、
米オライオン社の「スターシュートG3カメラ(冷却CCD:カラー/モノクロ)」を推奨します。また、同社の「ディープスペースビデオカメラ」は、
撮影経験のない方でも手軽に使えるオールラウンドのカメラとしておすすめです。いずれもアイピースでは見えない天体が写ります。

M42(43):LS-15ACF+DSI II+0.33xレデューサー(15センチACF鏡筒での最大写野)、 1分露光を4カット合成、経緯台ノータッチ追尾、撮影地:渋谷区恵比寿

撮影当日は、ふだんの光害光にくわえ、ふたご座に月齢10の月がかかる明るい夜空。実視で3等星が見えない。こうした悪条件下でも、このくらいは撮れるという作例。

元画像は、バックグランドのもっとも暗い部分でも46,000階調に達し、輝星や星雲中央部は階調が飽和している。飽和部分のイレギュラーな発色と、光害光による色かぶりも甚だしいので、あえてモノクロに変換して掲載。

※東京のような夜空が明るい場所では、むしろレデューサー無しで15~20秒程度に露光をきりつめて、星雲中心部の詳細を狙うほうがおもしろい。

M13:LS-15ACF+DSI II+米オライオン製CCD用0.5xレデューサー、20秒露光を4カット合成、経緯台ノータッチ追尾、撮影地:渋谷区恵比寿

撮影当日は、光害光と大気汚染で実視で3等星が見えないふだんの条件。ちなみに、撮影鏡筒による眼視では、反らし目でやっと存在(ただの星雲状)がわかる見え方。

階調飽和によるイレギュラーな発色を防止するため、露光時間を抑えて撮影。バックグランド35,000階調、中心部で44,000階調で(階調差が少ないのが光害地の証)。背景の濁った色は、かかる条件に起因します。暗い空で撮影すれば、星団を構成する最微星まで写すことができる対象ですが、上の画像は暗い空で20センチクラスの望遠鏡で覗いた印象に近い。星団中心を外れたところ(画像では右上)にある、3方に向かう暗い切れ込み、いく条にも伸びる特徴的な星列など、、、。もちろん、月例応募のレベルとは次元が異なりますが、居住環境で手軽に楽しめる撮影手段(自動導入でノーガイド撮影)であり、写りの制約が逆におもしろい結果を生んでいるとも思えます。

画像処理:4カットの画像を、オートスタースイート付属のイメージプロセッシングソフトウエアでダーク補正の後、4カットのLRGB画像に分解し、それぞれをスタック。ステライメージ4でLRGB合成を行ったのち、MaxIm DL Essentialで8ビットイメージに変換し、最後にフォトショップで階調を整えて終了。